商社ERPトレンド紹介 第35回「【生成AI×ERP】AIで案件進捗や為替リスクも予測できる?“商社業務の意思決定支援ツール”としてのERPとは」

こんにちは、穂苅智哉と申します。 

企業の基幹システムとして利用されているERP(Enterprise Resource Planning)システムは、販売管理、会計、在庫、人事など企業の基幹業務を統合して管理し業務を効率化するためのツールです。 

このERPは、近年のAI技術の進化で可能性が広がっています。特に商社業務を例に取ると、複雑な業務における意思決定支援のツールとして進化しています。 

案件管理・リスク評価・需要予測──商社の業務にAIが入り込む時代 

商社業務の特徴は、多様性とグローバル性です。国内外のサプライヤーや顧客との取引、為替変動リスク、物流の最適化など、考慮するべき要素は多くあります。これらの課題に対して、【生成AI×ERP】が業務を進化させています。 

例えば、案件管理では、過去の類似案件データを学習したAIが新規案件の成功確率や想定される障壁を予測して、条件が変わった場合のシミュレーションなども可能でしょう。為替リスクには、市場データと企業の取引履歴を組み合わせることで、特定の案件に最適なリスクヘッジを提案できます。需要予測では、天候データやSNSのトレンド分析をいれた精度の高い予測ができてくるなどがあります。 

つまり、従来の経験ベース・勘ベースの判断から、AIによる数値化ができるようになり「客観的根拠による判断」に進化します。 

属人的な判断からの脱却 – 「経験」の再現性を高めるERPの進化 

商社ビジネスでは、属人的な成功体験が多くあります。そのため、経験豊富なベテラン社員が退職すると失われる暗黙知もあるため、会社としては非常にもったいないことをしています。 

そこで、これらの暗黙知をAIが学習することで、会社の資産として残し、業務の状況判断に活用できるようになります。 

これにより、若手社員の育成も効率化されるため、先輩方の様々な経験やノウハウをAIを通じて体系的に学ぶことができるようになります。組織としての知識継承と標準化が進み、業務の品質が平準化されいくことになります。 

ERPは「情報管理ツール」から「経営判断ツール」へ 

今までのERPシステムが、事業運営に関連する業務を横断的に統一して管理する「情報管理ツール」だったとすると、【生成AI×ERP】は情報をもとにシミュレーションや予測までができるツールになるということです。つまり「経営判断ツール」と言っても過言ではありません。 

例えば、特定の市場への参入検討をしている場合には、ERPは過去の類似案件の成功要因分析と現在の市場動向、競合状況、リソース配分の最適化までを含めた包括的な判断材料を提供してくれます。更に、実際の進捗についてもリアルタイムで評価し、PDCAを回せるようになります。 

このように、上手くERPの情報をAIで活用していくことで、商社業務における意思決定の質とスピードを格段に上げてくれるようになります。特に今回強調した属人性からの脱却と予測については、AIが得意な分野です。これからのビジネスのキーワードである「協働」を目指して【生成AI×ERP】の観点を持つことをおすすめします。 

このコラムを掲載している双日テックイノベーションは、IT技術で企業の課題を解消していく「専門家」です。特にGRANDITやクラウドERPをご検討の商社やIT系の企業の皆様で、業務や基幹システムに関しての課題や興味がある方には、以下のページをご覧いただきたいです。 

純国産ERPパッケージ「GRANDIT」は、2004年に登場し1,400社以上の企業で導入がされています。また、オールインワンERPとして、ERP、EC、BI、企業グループや取引先の連携、グローバル対応など様々な機能が集まっているERPです。 

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