商社ERPトレンド紹介 第45回 「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」とは?2026年義務化で変わる商社の情報管理」

2025年12月現在、日本の商社・卸売業界では、EUの新たな規制対応が課題となっています。それが「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」です。

2024年7月、EUで「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」が発効しました(※1)。このESPRに基づき、製品カテゴリーごとにDPPが順次義務化されます。最初の対象となるのは電池製品で、2027年2月からは電気自動車用や産業用の大型バッテリーに「バッテリーパスポート」が義務付けられます(※2)。

その後、2027年以降には繊維製品、電子機器、建材、家具などへの拡大が見込まれています(※3)。

これらの規制は、直接的にはEU域内で製品を販売する企業が対象ですが、日本の商社がサプライチェーンの一員として製品を供給する場合、間接的に大きな影響を受けることになります。製品情報の透明性確保が求められる時代に、商社はどのように対応すべきでしょうか。

(※1)https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/07/f2af2bb5a7f33a8e.html

(※2)https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2025/11/eu-regulation-dpp.html

(※3)https://division.nagase.co.jp/plaplat/sustainable_solution/regulation/dpp-2/

デジタルプロダクトパスポート(DPP)とは?

デジタルプロダクトパスポート(DPP)とは、製品のライフサイクル全体にわたる情報を電子的に記録し、サプライチェーン全体で共有・追跡可能にするための仕組みです。いわば「製品の身分証明書」として機能します。

具体的には、以下のような情報がDPPに記録されます。

  • 製品基本情報:製品名、型番、製造者、製造年月日、製造国
  • 原材料情報:使用されている原材料の種類、原産地、調達先
  • 環境情報:製造時のCO2排出量(カーボンフットプリント)、エネルギー消費量、リサイクル材含有率
  • サステナビリティ情報:製品の耐久性、修理可能性、リサイクル方法
  • サプライチェーン情報:製品がどのサプライヤーを経由して生産されたかのトレーサビリティ

これらの情報は、QRコードやRFIDタグなどを通じてデジタルアクセス可能な形で提供され、消費者、規制当局、リサイクル業者など、製品に関わるすべてのステークホルダーが必要に応じて閲覧できます(※4)。

DPPの背景には、EUが推進する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の理念があります。製品の透明性を高めることで、資源の有効活用と環境負荷の低減を実現しようとする試みです。

(※4)https://www.env.go.jp/content/000185559.pdf

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が商社にどのような影響があるのか?

商社にとって、DPP対応は決して簡単ではありません。最大の課題は、「サプライチェーン上流まで遡った情報収集と管理」といえます。具体的に今回は4つ紹介していきます。

1.膨大な情報収集の負担

たとえば、電子部品を扱う商社の場合、最終製品の製造者だけでなく、部品を供給する一次サプライヤー、さらには原材料を供給する二次・三次サプライヤーに至るまで、各段階での製造情報や環境データを収集する必要が出てきます。

しかし、多くの商社では、取引先情報が営業部門ごとに分散管理されていたり、紙ベースやExcelでの管理が残っていたりするため、サプライチェーン全体の情報を効率的に統合することが困難です。

2.データの標準化と連携

DPPでは、情報を標準化されたデジタル形式で提供する必要があります。しかし、取引先が異なるシステムを使用している場合、データ形式の統一や連携が大きな負担となります。

KPMGの調査(※5)によれば、「DPPはサプライチェーン全体の情報統合を前提とするため、取引先企業からの情報収集と共有が不可欠となる。これには標準化されたデータ形式の導入や、情報連携基盤の構築が求められる」とされています。

3.情報更新の継続性

DPPは、製品のライフサイクル全体を通じて情報を更新し続ける必要があります。たとえば、製品が修理された場合、使用された部品の情報を追加する必要があり、リサイクルされた場合には、そのプロセスの記録も求められます。

こうした継続的な情報管理を手作業で行うことは現実的ではなく、どうしてもシステムによる自動化が不可欠となります。

4.ビジネス機会の喪失リスク

DPP対応が遅れた場合、EU向けの製品供給から排除されるリスクがあります。実際、欧州の大手企業では、DPP対応が可能なサプライヤーを優先的に選定する動きが広がっています。逆に、先手を打って体制を整えることで、新たなビジネス機会を獲得することも可能です。

(※5)https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2025/11/eu-regulation-dpp.html

デジタルプロダクトパスポート(DPP)対応のためのシステム

DPPへの対応は、単なる規制対応にとどまりません。サプライチェーンの透明性を高めることで、取引先や投資家からの信頼を獲得し、持続可能なビジネスモデルを構築するチャンスでもあります。

そのためには、製品情報、原産地情報、環境データを一元管理し、サプライチェーン全体で共有できるシステム基盤が不可欠です。具体的には、以下のような機能が求められます。

  • 製品マスタ管理:製品ごとの詳細情報を一元管理し、必要に応じて更新・追跡
  • サプライヤー情報管理:取引先ごとの製造情報や環境データを統合管理
  • トレーサビリティ機能:製品がどのサプライヤーを経由して生産されたかを追跡
  • データ連携機能:取引先システムとのシームレスなデータ連携を実現
  • レポーティング機能:DPP要件に応じた情報を自動生成し、QRコードやデジタルタグとして出力

これらの機能を個別のシステムで実現しようとすると、データの分断が生じ、かえって業務が煩雑化しますので、重要なのは、受発注管理、在庫管理、財務管理といった基幹業務と、DPP対応に必要な情報を統合的に管理できるERPシステムを導入することです。

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