2025年、世界のサプライチェーンは大きな転換期と言えます。米中対立の激化と地政学リスクの高まりを背景に、製造拠点を自国や近隣国へ回帰させる「リショアリング」の動きが加速しているからです。
米国では「USA+1」として、国内生産と近隣国の活用を組み合わせたサプライチェーン再編が進んできており、日本企業も生産ラインの複線化・分散化を進めています。こうした製造拠点の再編は、商社・卸売業にとって、調達先の多様化と在庫戦略の抜本的な見直しを迫る課題となっています。
リショアリングとは?
リショアリング(Reshoring)とは、海外に移転していた製造拠点や生産機能を自国内に戻すことを指します。米国による対中関税の引き上げや地政学的な緊張の高まりにより、かつてコスト削減を目的に海外展開した企業が、供給の安定性とリスク分散の観点から国内回帰を選択する動きが広がっています。
リショアリングに類似する用語として、ニアショアリング(Nearshoring)とフレンドショアリング(Friendshoring)というものもあります。ニアショアリングは、自国に近い地域や近隣国へ生産拠点を移転することで、物流コストと輸送時間を削減し、より緊密な連携を維持する戦略です(※1)。一方、フレンドショアリングは、政治的・経済的に友好関係にある国々との間でサプライチェーンを構築し、地政学リスクを軽減する取り組みを指します(※1)。ちなみにアメリカでは、バイデン政権が唱える米国と同盟・友好国との間でサプライチェーンを多様化、強靭化する取り組みとしてメキシコや東南アジア諸国との連携を強化している動きが代表例ですが、トランプ政権になりこの動きにも変化が出ています。
これら3つの戦略に共通するのは、「単一国・単一拠点への過度な依存からの脱却」という目的です。2025年の製造業では、リスク分散と供給の安定性がサプライチェーン戦略の中心課題となっており、商社にとっても取引先の生産拠点の変化を注視し、迅速に対応することが求められています(※2)。
(※2)https://www.grandit.jp/erp/column/supplychain_reorganization.html
リショアリングで商社の在庫戦略はどう変わるのか?
このリショアリングの加速ですが、商社・卸売業の在庫戦略に次のような変化をもたらすと考えられています。
1.複数拠点からの調達と在庫の分散管理
従来は中国など単一の製造拠点から大量一括調達するモデルが主流でしたが、リショアリングにより、国内工場、メキシコ、東南アジアなど複数の拠点から並行して調達するケースが増加しています。その結果、拠点ごとの在庫状況、リードタイム、コスト構造が異なり、全体最適を図る在庫管理の難易度が上昇しています。
2.需給変動への迅速な対応
昨今は地政学リスクの高まりにより、特定地域からの供給が突然途絶えるリスクが常態化してきています。商社は、複数の調達ルートを持つことでリスクを分散する一方、各拠点の在庫量と需要予測を統合的に管理し、迅速に配分を調整する仕組みが不可欠となります。
3.データの一元化とリアルタイム可視化
複数拠点・多通貨・多言語のデータを紙やExcelで管理する従来の方法では、情報の遅延や見落としが発生し、機会損失や過剰在庫のリスクが高まります。拠点横断でのデータ一元化と、リアルタイムでの在庫状況・需給バランスの可視化が、競争力を左右する要素になっています。
4.システム基盤としてのERPの重要性
こうした課題に対応するには、複数拠点の在庫、受発注、財務データを統合管理できるERPシステムの導入が鍵となります。商社・卸売業向けのERPは、拠点ごとの在庫最適化、調達ルートの切り替えシミュレーション、需給予測の精度向上、トレーサビリティの確保といった機能を提供し、リショアリング時代の在庫戦略を支えることになります。
リショアリングのためにも、統合管理システム(ERP)が重要
リショアリングは、単なる製造拠点の移転ではなく、サプライチェーン全体の再設計を伴う大きな変革です。商社・卸売業にとっては、調達先の多様化と在庫戦略の高度化が求められる一方で、適切なシステム基盤を整備することで、リスク分散と競争力強化を同時に実現できる機会でもあります。2025年、地政学リスクが常態化する時代において、複数拠点を統合管理できるERPの導入は、もはや選択肢ではなく、必須の経営基盤と言えるでしょう。
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