物流コストの上昇、ドライバー不足、小ロット高頻度出荷の見直し。
こうした変化が重なる中で、卸売業の経営はこれまで以上に「物流をどう回すか」に左右されるようになっています。2026年4月施行の改正物流関連制度(※1)では、一定規模以上の荷主に中長期計画の作成や物流統括管理者の選任などが求められ、物流効率化は現場任せでは済まないテーマになりました。もっとも、影響を受けるのは特定事業者だけではありません。配送条件、納品頻度、在庫配置、価格転嫁の考え方まで、商社・卸売業全体に見直しの波が及んでいます。
いま必要なのは、受発注、在庫、物流を別々に管理する発想から抜け出し、全体を一つの計画としてつなぐことです。
(※1)https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/5minutes/
物流2026年問題で、卸売業の経営はどう変わるのか
卸売業は、メーカーと小売の間に立ちながら、商流だけでなく物流の調整役も担ってきました。そのため、物流費が上がっても簡単に価格へ転嫁できず、利益率の低下を自社で抱え込みやすい構造があります。
さらに、従来は当たり前だった小口・多頻度配送も、ドライバー不足と労働規制の強化によって維持しにくくなっています。配送ルートの再設計や納品頻度の見直しを進めようとしても、営業は売上を優先し、物流は積載率を重視し、在庫担当は欠品回避を優先するため、部門ごとに判断が分かれやすいのが実情です。
結果として、過剰在庫、欠品、緊急出荷、物流費の増加が同時に起き、全社としての利益管理が難しくなります。
S&OPとは何か
こうした状況で注目されるのが、S&OP(Sales and Operations Planning、セールス&オペレーションズ・プランニング)です。S&OPは、販売計画、調達計画、在庫計画、物流計画をつなぎ、会社としてどの需要を取りに行き、どこで在庫を持ち、どう供給するかを全体最適で考えるための仕組みです。
ポイントは、数量だけをそろえることではありません。売上や粗利、物流コストといった「金額」の視点と、受注量や在庫量、供給能力といった「数量」の視点を同時に見ながら、経営と現場が同じ前提で判断することにあります。物流のひっ迫が続く時代には、感覚や経験だけで需給を回すのではなく、データを基に先回りして打ち手を決める発想が欠かせません。(※2)
(※2)https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/operations/proactive-response-by-s-and-op.html
S&OPが卸売業で重要になる理由
卸売業では、需要の変動がそのまま調達、在庫、配送負荷に波及します。
ある得意先の販促で受注が増えれば、在庫補充だけでなく、倉庫の作業量、配送便の確保、利益率の見直しまで連動して考えなければなりません。S&OPが重要なのは、こうした連鎖を部門横断で見える化し、月次や週次で優先順位をそろえられるからです。特に、物流制約が強まる局面では、「売れるものを全部売る」よりも、「利益が残る形で売る」「運べる前提で売る」という考え方に切り替える必要があります。
なぜ受発注と在庫と物流がつながらないのか?
S&OPの考え方を理解しても、実務で回せる企業は多くありません。
なぜでしょうか。
理由は単純で、必要な情報が分かれているからです。受発注は販売管理、在庫は倉庫や商品管理、配送は物流システム、収益は会計と、数字が部門ごとに管理されていると、同じ商品を見ていても前提がそろいません。会議のたびにExcelを突き合わせ、最新数字を確認し、調整結果をまた別システムへ反映する運用では、変化の速い市場に追いつきにくくなります。物流2026年問題への対応は、単に配送会社を見直すことではなく、受注の取り方、在庫の持ち方、出荷の仕方を一つの流れで見直すことです。そのためには、現場最適を積み上げるだけではなく、経営判断に必要なデータを日々つなげる基盤が必要になります。
ERPでS&OPを実務に落とし込む
ここで重要になるのがERPです。S&OPを形だけで終わらせず、受注、在庫、出荷、会計を連動させて運用するには、日々の業務データが一つの基盤につながっていなければなりません。もちろん、SAP HANAやOracle EBSのような外資ERPは高機能で、グローバル展開の強みもあります。一方で、商社・卸売業の現場では、検収処理、手形決済、都度請求、掛取引といった日本独自の商慣習への対応が必要になり、個別のアドオンや運用調整が増えやすい傾向があります。その結果、導入時だけでなく改修やバージョンアップのたびに負担が重くなり、S&OPのような全社運用を機敏に回しにくくなることがあります。
だからこそ、卸売業の業務に合わせて統合管理を進めやすいERPを選ぶことが、これからの戦略では重要です。
双日テックイノベーションが提供するGRANDIT(※3)は、2025年4月末時点で1,500社以上の導入実績を持つ純国産ERPで、商社向けアドオンテンプレートや長年の業務知見を生かしながら、受発注・在庫・会計の統合管理を現実的に進めやすい点が特長です。物流2026年問題をきっかけに、S&OPを「考え方」で終わらせず「回る仕組み」に変えたい企業にとって、有力な選択肢になるはずです。
(※3)https://natic.sojitz-ti.com/service/erp/
外資ERPへの高額な移行投資に踏み切る前に、日本の商慣習に精通した国産ERP(GRANDIT)という選択肢を、ぜひ一度ご検討ください。双日テックイノベーションの商社・卸売業向けERPソリューションは、2027年問題への対応から全社データ統合・DX推進まで、貴社のERP戦略をトータルでサポートいたします。
商社・卸売業向けGRANDIT構築サービス:https://natic.sojitz-ti.com/service/erp/
