多摩信用金庫のDX専門人財育成
―DX University導入の舞台裏― - Natic | Creating the Future with Applications – 双日テックイノベーション
多摩信用金庫のDX専門人財育成
―DX University導入の舞台裏―
東京都の多摩地域を中心に魅力ある地域づくりを支援する多摩信用金庫様は、顧客接点のハイブリッド化を目指し、全職員のICTリテラシー向上とDX専門人財の育成に改めて注力。
DX専門人財育成の第一歩として、日商エレクトロニクスが提供するDX人材育成プログラム「DX University」を採用しました。
ユーザープロフィール
- 企業名:多摩信用金庫
- 所在地:東京都立川市緑町3番地の4
- 設立:1933年12月26日
- 従業員数:2,022名(2023年3月末現在)
- URL:https://www.tamashin.jp/
- 事業内容:
- 預金業務、貸出業務
- 内国・外国為替業務、代理業務、
- 投資信託・保険商品の窓口販売業務
- 各種相談業務 ほか
- 参照:https://www.tamashin.jp/recruit/new_graduate/mission_profile/index.html
Before/After
- お客様 に合わせて非対面でも対応できる、サービスのハイブリッド化を推進したい
- 各部署にDX 専門人財を配置した上で、全職員のICTリテラシー向上を目指したい
- 戦略の柱となる、DX専門人財の育成に向けた研修プログラムを導入したい
「DX University」を導入
- 担当業務に関わる実データの分析体験が、能動的な課題解決マインドを養成
- 異なる部署との交流が業務理解につながり、積極的なデータ利活用を促進
- 他部署の業務内容や取り扱うデータの可視化が、新たな取り組みを創出
目次 Table of Contents
- 全役職員のDXへの意識向上を目指しDX 専門人財の育成に着手
- 対面研修やカリキュラムが優位と判断しDX Universityを選択
- 実データを使った分析体験によりデータ活用の意欲向上を実現
- 研修の今後について
- 日商エレクトロニクスへの評価
全役職員DXへの意識向上を目指しDX 専門人財の育成に着手
多摩信用金庫は2023年に創立90周年を迎えた大手信用金庫だ。企業・事業者への支援や個人の暮らしのサポート、地域社会の連携強化や課題解決などにも多角的に取組み、魅力ある地域づくりを支援。また、役職員が一丸となって取り組むDX推進施策にも着手している。
DX専門人財育成について、常勤理事 池田氏は次のように語る。
「弊金庫は2030年に向けた金融環境・社会環境を見据えた長期ビジョンにおいて、“永続的に『地域の課題解決インフラ』になる”と宣言し、それを実現させるための『次世代ICT戦略』と『DX人財育成ビジョン』を推進しています。これまで私たちはお客様 への訪問・面談による接点を重視して業務に取り組んできましたが、コロナ禍によって訪問・面談がままならなくなりました。そこで、非対面による接点も進化させ、お客様が求めるサービスを対面・非対面のハイブリッドで提供することが重要だと考えました。」
同金庫は独自に「DX人財育成ビジョン」を策定。また、2023年10月には経済産業省の「DX認定制度認定事業者(※)」に認定された。
※ DXによるビジョンや戦略・体制などが整っている事業者を経済産業省が認定する制度
経営戦略室長 師岡氏は「認定を受けDXに対する全役職員の意識を向上させようと考えました。DX 専門人財を育成するための研修プログラムを導入・実施することで、各部署にDX 専門人財を配置し、その上で全職員のICTリテラシー向上を目指すといった、段階的な戦略をとることにしたのです。」と説明する。その戦略実現に向けた人材育成プログラムの選定を始めた。
対面研修やカリキュラムが優位と判断しDX Universityを選択
以下の3つを選定基準に定め、複数ベンダーの教育プログラムを比較・検討した結果、日商エレクトロニクス「DX University」が選定基準に最適だった。
1. 対面研修の提供
複数のDX人材育成サービスを比較検討した結果、オンラインでコンテンツを提供するものやリモートで講義するものが多かった中で、DX Universityだけが講師を含めての集合研修方式をとっていたのが優位点だった。対面なら疑問や質問があってもその場で聞くことができ、講師が受講者の理解度を読み取れるため、無理なく講習を進めることが可能だ。
2. 体系化されたカリキュラム
他サービスと比較し、DX Universityは分析手法のアドバイス、チームでのプロジェクトの進め方、各種リスクの回避方法など、データ活用全般について理解でき、課題に対しても適切な分析手法が選択できるようプログラムが網羅されていた。
3. 充実した研修終了後のフォローアップ
研修のみでは知識に留まるため、実務・実データを活用したフォローアップが行われることで、データ分析に関する一連の流れの経験を積み、分析手法を体得できる。その結果、自部署内への展開が行いやすくなると判断したという。
DX Universityの数あるプログラムの中で、同金庫がセレクトしたのは、統計解析・分析基盤技術やビッグデータ分析を網羅的に学習する集合研修プログラム「データサイエンティスト養成ベーシック」と、その受講者が実践的なデータ分析のプロセスを学ぶための伴走支援を受ける「データ分析実務フォローアップ」だ。
実データを使った分析体験によりデータ活用の意欲向上を実現
多摩信用金庫が今回活用した「データサイエンティスト養成ベーシック」は基礎講座となるため、一期生として本部職員に対して受講希望者を募った。定員は10名を予定していたが、想定よりも多くのエントリーがあり、16名に増員。2023年10月~12月に研修が行われた。
経営戦略室 DX Lab髙木氏は、「この研修ではデータ分析の勘所と全体感を学ぶという目的のほか、弊金庫内にあるPII(個人を特定できる情報)を除く実データを扱ってリアルな分析の体験を行うことを重視しました。」と話す。
同金庫にはさまざまなデータが蓄積されているものの、目的にそぐわないケースがあった。その解決策が分からず研修課題が停滞するなど、課題が浮き彫りになったことが意外な発見だった。
「必要なデータを取得し、目的に合う形で蓄積しておけば、いつでも分析に活用できるというマインドを養うことができたことも大きな成果です。それが今後さらにデータを活用していこうというモチベーションにつながり、新たなビジネスモデルの開発や強化、お客様の課題解決にも役立っていくと考えています。」と髙木氏は期待する。
また、経営戦略室 DX Lab 合田氏は、「研修では異なる部署のメンバーと協力してグループワークをこなす場面がたくさんありました。違う部署の人はこんなことを普段取り組んでいたのか、こんな課題を考えていたのか、などの新たな発見ができたことも大きなメリットです。DX University活用の目的は、各部署にデータの利活用ができる人材を万遍なく配置することであり、今後受講者が各自の部署に戻り、日々の業務の中で積極的にデータを利活用し、さまざまな課題にチャレンジしてくれることを期待しています。」と話す。
価値創造事業部 営業店支援グループ 臼井氏は「研修で得たものは非常に多かったと思います。」と評価する。同氏は本講座の受講者のひとりだ。
特にハンズオンの対面研修が効果的だったという。「もしテキストや動画だけでデータ分析手法を学ぼうとしたら挫折する受講者がいたかもしれません。DX Universityでは複数の講師が研修に参加し、分析を行う上での気構えや取り組む際の注意点など、親身になって伴走支援をしてくれました。実データに触れながらケース別の分析方法や加工方法を学ぶ際には、仮説どおりにならない難しい場面でもしっかりとフォローいただけたので、メンバー全員が脱落せず研修を完了できたと思っています。」と臼井氏は振り返る。
また、他部署の業務内容や取り扱っているデータが研修プログラムの中で見える化できたことで、データ同士を組み合わせて新たな取り組みにつなげる可能性も感じているという。
研修の今後について
DX Labが受講者からアンケートを取った結果、全員が研修内容について非常に満足しているとの回答を得た。その結果を受けて、来年度以降は営業店職員にも募集を行い、DX Universityのプログラムを継続実施していく計画だ。
また、実データを使った分析演習ではExcelでは扱いきれないケースがあったため、プログラミングを学んでみたいという要望も寄せられた。そのため今後はプログラミング研修も検討していくという。
日商エレクトロニクスへの評価
髙木氏は日商エレクトロニクスに対する評価について、次のように語る。
「DX Universityのプログラムやその後のフォローアップの内容は非常に満足しています。内容の決定から終了まで日商エレクトロニクスには一貫してサポートいただいたおかげで収穫の多い施策となりました。今後も引き続き一層の支援を期待しています。」
写真左より
日商エレクトロニクス株式会社 アプリケーション事業推進部 ビジネスデザイン課
課長補佐 川田 桃子
多摩信用金庫 経営戦略室 DX Lab 調査役 髙木 皓平 氏
多摩信用金庫 常勤理事 池田 大次郎 氏
多摩信用金庫 経営戦略室長 師岡 直明 氏
多摩信用金庫 経営戦略室 DX Lab 調査役 合田 昌弘 氏
日商エレクトロニクス株式会社 アプリケーション営業部 二課
シニアコンサルタント 木村 仁
※所属部署名、役職名は、取材当時のものです。