業務の質を高める生成AI活用研修

社会における存在意義を「山梨から豊かな未来をきりひらく」と掲げる株式会社山梨中央銀行(以下、山梨中央銀行)は、業務の質を高めるために専用生成AIの活用を促進しようと、双日テックイノベーションのDX University「業務の”質”の高め方研修~生成AIの活用~」を採用しました。
今回は任意研修であったにもかかわらず全行員の半数近くが受講し、関心の高さと現場に持ち帰った効果が確認されました。

ユーザープロフィール

株式会社山梨中央銀行様

  • 企業名:株式会社山梨中央銀行
  • 所在地:甲府市丸の内一丁目20番8号
  • 設立:1941年12月1日
  • 従業員数:1,658人(2024年9月30日現在)
  • URL:https://www.yamanashibank.co.jp/
  • 事業内容:当行および連結子会社で、銀行業を主要業務に、リース業、クレジットカード業等の金融サービスに関わる事業を展開

Before/After

課題/目的

  • 行内に展開した生成AI活用ガイドラインのみでは生成AIの活用が限定的だった
  • 全行員が業務改善や生産性向上への意識を高め、その具体策を得られる研修が必要だった

日商エレクトロニクスのDX人材育成プログラム「DX University」 導入効果

  • 業務の質への意識向上:自身の業務に生成AIを試してみる機会が増加
  • 行内での知識共有の活発化:自身の学びを同僚と共有し、生成AI活用の議論が活発化
  • DX推進が加速:日常業務に生成AIを取り入れる動きが広がり、活用できる業務範囲が拡大

目次 Table of Contents

  1. 生成AIを導入するも効果は限定的
  2. DX Universityで実績がある双日テックイノベーションに相談
  3. 人材育成や提案力向上に生成AIが活用できることを研修で確信
  4. 今後も双日テックイノベーションと興味深い研修やコンテンツを共創

生成AIを導入するも効果は限定的

山梨中央銀行は、 2022年4月からの中期経営計画「TRANS3(トランスキューブ) 2025」において、3つの変革ドライバー(AX:アライアンス、DX:デジタル、SX:サステナビリティ)と、3つの基本戦略(“事業体積”増加戦略、“生産性”倍増戦略、“サステナ”追求戦略)により、長期ビジョン「Value Creation Bank」に向けて変革と挑戦を続けてきた。特にDXでは、経営企画部内に専担組織「DX・イノベーション推進室」を設置し、DX推進人財育成制度 を導入。DXの基礎的な知識を備える「DXプランナー」約500名を養成するなど、人材育成について着実に目標を実現している。

DX推進人材の育成を進める中、新たなテーマが見えてきたと語るのは、経営企画部 DX・イノベーション推進室 室長 窪沢 崇氏だ。

「TRANS3 2025における“生産性”倍増戦略では、本部や営業店の複雑化した事務をシンプル化・集中化・合理化することによる事務ゼロと、多様化するお客さまニーズへ対応するためのデジタル・リアル双方におけるチャネル改革に着手してきました。その一環で当行専用の生成AIチャットツールを導入し、その利用環境の整備や生成AI活用人材育成などに取り組んでいます。しかし、生成AIの存在は認知されているものの、その価値や使い方が分からないという意見が多く、活用のシチュエーションも限られていることが課題となっていました」と窪沢氏は説明する。

経営企画室部DX・イノベーション推進室
室長 窪沢 崇 氏
経営企画部DX・イノベーション推進室
DX推進チーム
林 希 氏

経営企画部 DX・イノベーション推進室 DX推進チーム 林 希氏も、教育面での課題を指摘する。

「DXリテラシーを全行的に底上げする手段として生成AIを導入し、独自に研修も行いましたが、一部の人の一部の業務でしか活用されておらず、効果は限定的でした。その反省から、現場が生成AIを理解して、現場が業務改善や生産性向上に対する意識を高められる研修が必要だと感じていました」と林氏は振り返る。

DX Universityで実績がある双日テックイノベーションに相談

しかし、DX推進チームだけでは教育や研修のリソースが少なく、生成AIの価値が一部の人にしか届かない可能性もあったという。林氏は、「自分の仕事の質を変えたり見つめ直したりすることに生成AIが活用できるという気付きや、デジタルリテラシーを上げればより楽しく仕事ができると実感してもらえる研修を実施したかった」と話す。

そこで、前年度、DX Universityで成果を出した双日テックイノベーションに相談することに。「双日テックイノベーションは、DX University導入当初から当行のやりたいことをいつも柔軟に対応いただいていたので 信頼性が高く、今回も成果の出る教育メニューや研修コンテンツを提供してくれるという期待や確信がありました」と林氏は述べる。

相談を受けた双日テックイノベーションは、生成AI活用に関する学習メニューや研修コンテンツを検討し、DX推進チームと一緒にブラッシュアップしながら自由に参加できるような研修を企画。生成AIを道具として活用できるようリテラシーの底上げを狙った研修コンテンツを開発した。
研修名は「業務の“質”の高め方研修~生成AIの活用~」とし、生成AIを単独テーマとせず既存の業務研修に組み込むことで、構えずに学べる工夫を行った。

また、受講方法はリアルでの参加・リモートからの参加・アーカイブ視聴の中から自由に選択できるようにしたほか、1回分の尺を1時間~1時間半ほどになるようコンパクトにまとめ、実践的な活用例(1on1ミーティングのテーマ案、プレゼン準備の仕方など)で構成。そうした施策が功を奏し、任意研修にもかかわらず全行員の半数近くの約700名が受講したという。
そして2025年度からの中期経営計画 に合わせ、生産性向上のツールとして生成AI活用が業務標準となるレベルにまで定着率を高めるのが目標だ。

人材育成や提案力向上に生成AIが活用できることを研修で確信

実際に受講した、営業統括部 営業推進企画室 室長 山口 裕康氏は、「私は主に金融商品やサービスの開発を行っている企画部門でマネジメントを行っています。普段の業務が調査・分析・組織内調整など多様で時間や手間もかかる上に、室員は個人ごとにスキルの差があり、業務の効率化や合理化が長年のテーマでした。今回は生成AIというツールありきではなく、『業務の“質”の高め方研修』というタイトルに惹かれたことから、営業推進企画室の皆に受講しようと呼びかけたのです」と話す。

以前まで生成AIは業務に不可欠な存在ではなかったという山口氏。受講後はかなり身近に感じられるようになり、企画や調査などの業務 で生成AIと壁打ちをしながら、良い回答例を参考にしたりまとめ作業の効率化につなげたりしているという。

営業統括部営業推進企画室
室長 山口 裕康 氏

「プロンプトの書き方に工夫が必要だと知ったことで、以前より有効に活用できるようになりました。まだすべてを生成AIに頼るわけにはいきませんが、今後業務が相当効率化されるように感じます」と山口氏は評価する。

日下部エリア日下部支店
主任 依田 友香里 氏

また、日下部支店 主任 依田 友香里氏も受講したひとりだ。マネーアドバイザーでファイナンシャルプランナーでもある依田氏は、「お客さまのご来店に合わせて業務を行っているので、常に臨機応変な対応が求められます。もう少しゆとりを持った仕事の仕方のヒントが見つかればいいなという気持ちで受講しました」と打ち明ける。

既に同行の窓口業務には生成AIが活用され始めており、自動化・セルフサービス化が進みつつある一方で、投資・運用ニーズの高まりや顧客高齢化に伴い、窓口業務の負荷が増える傾向にあるという。

「営業店はお客さまとの対話の時間を十分捻出するとともに、当行にしかできない付加価値で他の金融機関との差別化や競争力強化につなげる高度な提案力が必要なため、各自工夫しながら日々課題の改善を模索しています。今回の研修では、生成AIはさまざまな使い方があり、積極的に日常業務へ取り入れることで、人材育成や提案力の向上に活用できることが分かりました」と依田氏は語る。

今後も双日テックイノベーションと興味深い研修やコンテンツを共創

2025年からの中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」では、引き続き生産性向上が主要施策として打ち出された。生成AIの活用は今後も重視する方針だ。

林氏は、「DXにはゴールがなく、決まった形もないため、時代に合わせて常に最新の技術や情報をキャッチアップし続けなければなりません。DX Universityや今回の生成AI活用研修のように、幅広い人材育成に応用できるような興味深い研修内容やコンテンツを、今後も双日テックイノベーションに協力を仰ぎながら企画したいと思っています」と話す。

そして窪沢氏は、「私たち銀行が多様化するお客さまニーズに何を提供できるのかを考える上で、優先されるのがお客さまの課題解決です。現代はITやデジタルのスキルなしにお客さまの課題を解決することは難しく、リテラシーや知識を高めていくことが何よりも重要です。これからも双日テックイノベーションの伴走支援に大きな期待を持っています」と語る。

山梨中央銀行は、創業150周年を見据えた長期ビジョンの第一段階としてDXでさらなる変革を進めようとしている。双日テックイノベーションもDXの水先案内人として万全の支援体制を整えていく構えだ。

(写真左から)
株式会社山梨中央銀行 経営企画部 DX・イノベーション推進室 DX推進チーム 林 希 様
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部 アプリケーション事業開発部 ビジネスデザイン課 課長補佐 川田 桃子
株式会社山梨中央銀行 日下部エリア 日下部支店 主任 依田 友香里 様
株式会社山梨中央銀行 経営企画部 DX・イノベーション推進室 室長 窪沢 崇 様

※所属部署名、役職名は、取材当時のものです。