パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)メーカーの三洋化成工業株式会社は、ビジネスのグローバル化とともに輸出が急増し、輸出業務に係る人的負担や関係書類が増大。そこで誰でも習得しやすく活用できる輸出業務支援サービスを検討した結果、双日テックイノベーションの貿易事務特化型実務自動化クラウドサービス「Trade Hub」を導入した。請求書等のデータ化のリードタイムが大幅に短縮するとともに、課題だった属人化も解消。複数の案件を同時並行で進行でき、プロセスを可視化して進捗把握も同時に実現し、効率化につながることを期待する。
ユーザープロフィール
三洋化成工業株式会社

- 企業名:三洋化成工業株式会社
- 所在地:京都市東山区一橋野本町11-1
- 設立:1949年11月1日
- 従業員数:1,680名(連結)
- URL:https://www.sanyo-chemical.co.jp/
- 事業内容:
1907年に京都・東山で創設した多田石鹸油脂製造所をルーツとし、1949年に三洋油脂工業として設立。以後、社会や産業のニーズに応える研究開発型企業として界面制御技術を核とした多様な技術を持つパフォーマンス・ケミカルスのメーカーとして発展。生活・健康、石油・輸送機、プラスチック、繊維、情報・電気・電子、環境・住設、医療、農業などの各種産業に対し約3,000種類の機能化学品を国内とグローバル市場で提供。低炭素社会・循環型社会の形成に貢献している。
Before/After
課題/目的
- 輸出の急増とともに直接貿易が増え輸出業務に係る人的負担や関係書類が増大していた
- 貿易関係書類のチェック作業に時間がかかり担当者の精神的な負担も大きくなっていた
- 一部作業は個人スキルに依存する属人化と業務フローの複雑化を招いていた
導入効果
- 自動照合機能でスキルを問わずレベルの高いチェックを可能にして属人化を解消
- 複数の案件を同時並行で進行でき、従来比約30%の工数削減を期待
- プロセスを画面上で可視化、進捗を把握し容易な業務引き継ぎを実現
- 請求書等のデータ化のリードタイムが3日から15分へと大幅に短縮
目次
- 膨大な貿易関係書類のチェック作業に時間がかかり実務担当者の精神的負担も増大
- スモールスタートで始められ、導入から運用まで現場に即した伴走支援
- 自動照合機能によりスキルや熟練度を問わず高いレベルでのチェックを実現
- 新人や未経験者でも直感的に使えるのがTrade Hubの最大の優位性
膨大な貿易関係書類のチェック作業に時間がかかり実務担当者の精神的負担も増大
三洋化成工業は、1949年に界面活性剤メーカーとして設立以来、パフォーマンス・ケミカルスを軸に置き、各種の高分子薬剤や特殊化学品などを開発。特定の課題解決や付加価値の向上を実現する技術領域を拡大してきた。現在は界面活性剤、潤滑油添加剤、永久帯電防止剤、炭素繊維製造用薬剤など、約3,000種類に及ぶ製品の開発・製造・販売を行っている。
同社が主要製品の海外輸出を本格化したのは1980年代からだった。当時は旧ソ連向けに、シューズのアウトソールに使用されるポリウレタン樹脂の需要が拡大していた。
その後、自社の製品ポートフォリオが増えるにつれて、ソ連以外の市場も開拓を進め、1990年代にはタイ、アメリカ、中国などに次々と現地法人を設立。ビジネスのグローバル化が進むなかで輸出量は急増し、それに伴って輸出業務に関わる人的負担や書類の量も増大していった。
SCM統括本部 ロジスティクス部 副主席部員の和田 一郎氏は次のように振り返る。「当社の輸出業務は、直接貿易の比率が年々高まっています。そのため、海外貿易業務を担う輸出チームは、日々発生する膨大な貿易関係書類のチェック作業に追われるようになり、その業務負担の軽減に取り組む必要がありました。」

同社が取り扱う貿易関連書類は7種類ほどあり、その作成作業の多くを外部企業にアウトソースしているが、チェック作業は同社が担っている。以前は基幹システムへのデータ入力や作成された書類の内容照合を輸出チーム内の6~7名が手作業で処理していたが、かなりの作業時間が必要で負担も大きかったという。また、貿易実務は専門知識が必要なため一部作業は個人スキルに依存する属人化と業務フローの複雑化を招いていた。SCM統括本部 ロジスティクス部 業務グループ 主任部員 西山 昌康氏は、「書類のチェックは時間との勝負です。もしミスの発見が遅れれば書類の再発行が必要となり、そのための無駄な時間と追加料金が発生してしまいます。そうしたリスクを回避するためにも、誰でも習得しやすく活用できる輸出業務支援サービスを導入し、貿易業務のDX化に踏み出す必要があると感じていました」と語る。

スモールスタートで始められ、導入から運用まで現場に即した伴走支援
輸出業務支援サービスを検討するにあたり、必要要件として①書類の自動照合機能があり、画面上でチェックが完結できること、②書類読み取り用AI-OCRの精度が高いこと、③実装から運用開始までベンダーの伴走支援が受けられること、④導入コストと運用コストがリーズナブルであることなどを挙げていた。和田氏は「2023年頃から調査していましたが、当時はまだ貿易業務に特化したサービスをあまり見かけませんでした。そうした中、ある展示会で出会ったのが後にTrade Hubとしてリリース予定のサービスでした」と話す。
注目したポイントは次の4つだったという。1つ目は、スモールスタートが可能なこと。 最小限に抑えたコストで無理なく導入を開始し、現行業務の進展に応じて段階的に拡大活用できる柔軟性が、リスクを抑えながら導入を進める上で重要な要素となった。
2つ目は、導入から運用まで専任担当者による現場に即した伴走支援が得られること。 実際の業務フローに合わせた最適な活用方法を一緒に考え、定着化まで継続的にサポートしてもらえる体制が整っていた。3つ目は、開発元の双日テックイノベーションが大手総合商社双日グループの中核ICT事業会社であること。 親会社の貿易部門でも導入実績があり、貿易業務に精通している人材がカスタマーサポートに存在していることも大きな安心材料だったという。
4つ目は、無償のデモ環境が用意されていたこと。 サービス内容を事前に十分に把握でき、導入後の具体的な運用イメージを確認できたことで、安心して導入を決断することができた。
自動照合機能によりスキルや熟練度を問わず高いレベルでのチェックを実現
Trade Hubの導入にあたっては、AI-OCRの精度アップなどのチューニングやアドオンアイテムの追加、最新UIへの切り換えに合わせた作業動線の改善などを慎重に行い、スモールスタート期間を経て、2025年7月から本格運用を開始した。
輸出業務のデジタル化が進んだ現在、いくつかの定量的効果が確認されている。
第1は、外部企業からの請求書のデータ化のリードタイムの短縮だ。以前は書類の作成作業を外部企業にアウトソースし、PDFからExcelフォーマットへの代行入力も依頼していたため、仕上がるまでに最短3日以上要していたが、Trade Hub導入後は、書類をアップロードしてからわずか15分でAI-OCRの結果を出力できるようになり、処理時間の大幅な短縮を図ることができた。西山氏は「この効果は大きく、時間短縮により業務効率も大幅に改善されています」と話す。

第2は、属人化の解消とマルチタスクの実現。従来は属人化と業務フローの複雑化が問題となっていたが、現在は自動照合機能により個人のスキルや熟練度に関わらず高いレベルのチェックが可能となった。また、同時並行で各国の輸出案件毎の書類チェックをAI-OCRで検証することも可能になった。SCM統括本部 ロジスティクス部 業務グループ 岩瀬 香菜絵氏は、「以前は1つの書類の処理が終わるまで次の書類に取りかかることができませんでしたが、今は複数の書類を同時並行してチェックできるようになり、従来の約30%の工数削減が見込めそうです。長時間の作業による疲労での細かい箇所の見落としが生じる心配もなくなり、精神的にもだいぶ楽になることを期待します。」と話す。

第3は、進捗状況の可視化。輸出にあたっては、受注処理、社内仕様への書き換え、P/O(発注書)と社内書類との照合、ERPへの入力などのプロセスが5~6ステップほど存在する。従来はその進捗状況の把握が困難だったが、現在はTrade Hubの画面上で業務全体の進捗が一目で把握できるようになったという。

SCM統括本部 ロジスティクス部 業務グループ 菊地 美有紀氏は、「画面上で手順がどこまで進んでいるか確認できるステップバーがデザインされており、バーがすべて埋まると完了を示すため、以降の処理に進めばいいと直感的に判断できるようになりました。輸出チームのメンバーの中には子育て中のママさんも多く、急な早退などで業務を引き継ぐ際も処理がどこまで進んでいるのかを画面上で確認できるのはとてもありがたいと思います」と説明する。

新人や未経験者でも直感的に使えるのがTrade Hubの最大の優位性
今後も同社は、Trade Hubの進化に応じて新機能を取り入れていくとともに、AI-OCRの更なる精度向上に向けてチューニングを続けていく考えだ。和田氏は「私は新人や未経験者の誰でも使えるシステムを社内に提案し導入することをミッションとしています。Trade Hubもまず私が使い始め、1か月程度で誰にも負けないほど活用できるようになりました。その実体験が採用を決めたポイントでもあったのです。Trade Hubは特別なITスキルを必要とせず、パソコンが苦手な人でも直感的に使えることが最大の優位性です。これからも双日テックイノベーションにはそうした視点で改善を続けてほしいと願っています」と語る。
75年以上にわたり界面制御技術を磨き続け、現在は国内屈指のパフォーマンス・ケミカルスメーカーとしてグローバルに躍進する三洋化成工業の発展に合わせ、Trade Hubも同社の貿易業務のハブとなれるよう機能強化を加速していく。