丸紅の食料・アグリ部門が営業システムを全面刷新    -「丸紅版GRANDIT」で開発コスト削減と高品質を両立 –

 総合商社の丸紅株式会社(以下、丸紅)は“SAPの2027年問題”に対処するため、単体(丸紅本体)の10営業本部と国内(丸紅グループ)の20事業会社を対象に、双日テックイノベーションが提案した純国産ERP「GRANDIT」を導入。     2023年10月に当時の化学品本部向けに本稼働した「GRANDIT」に続き、2025年7月からは、全社適用を想定して開発された「丸紅版GRANDIT」をベースに、食料・アグリ部門の固有機能をアドオンした「GRANDIT」が本稼働を開始。
コスト削減と品質の担保のほか、保守・運用の負担軽減も実現しました。

ユーザープロフィール

丸紅株式会社

  • 企業名:丸紅株式会社
  • 所在地:東京都千代田区大手町一丁目4番2号
  • 設立:1949年12月1日
  • 従業員数:4,304名
    (丸紅グループの従業員数 51,834名)
    ※2025年3月31日現在
  • URL:https://www.marubeni.com/jp/
  • 事業内容:日本を代表する総合商社。国内外のネットワークを通じて、ライフスタイル、食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューション、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメント、その他の広範な分野において、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引のほか、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開。
    (参照:https://www.marubeni.com/jp/company/profile/

Before/After

課題/目的

  • 複雑化し保守・運用の負担が増大した旧営業システムを刷新したい
  • 老朽化し属人化したシステムをビジネス環境の変化に対応できるよう最新化したい

導入効果

  • 開発費用の削減とシステム品質の担保を実現
  • 業務との高い適合性を実現し、保守・運用担当者の業務負担を軽減
  • 承認業務をワークフローで実行し意思決定の迅速化を実現

目次

  1. 旧営業システムでは固有の業務や要望に沿ったカスタマイズやアドオンにより保守・運用の負担が増大
  2. ユーザーも参加し合意と協力を得ることで業務標準化を推進、アドオンカスタマイズを抑制
  3. 「丸紅版GRANDIT」の活用で4つの導入効果を実現
  4. 「できないことは、みんなでやろう。」を体現した成功プロジェクト

旧営業システムでは固有の業務や要望に沿ったカスタマイズやアドオンにより保守・運用の負担が増大

 丸紅は、「ライフスタイル分野」、「食料・アグリ分野」、「金属分野」、「エネルギー・化学品分野」、「電力・インフラサービス分野」、「金融・リース・不動産分野」、「エアロスペース・モビリティ分野」、「情報ソリューション分野」、「次世代事業開発分野」、「次世代コーポレートディベロップメント分野」などの事業を、国内外126拠点のグローバルネットワークを介して展開する世界屈指の総合商社だ。中でも食料・アグリ部門は、農業資材、穀物、畜・水産などの川上分野から、食品原料や製品流通の川下分野に至るサプライチェーンを構築。食の安定供給を支えるソリューションプロバイダーとしての役割を担うなど、同社の看板事業のひとつに発展している。特に近年は持続可能なバリューチェーンの構築に向けて、環境配慮型養殖やデータを活用した精密農業、フードテックなどの革新的な取り組みも推進するなど、食を通じた社会課題の解決と人々の豊かな生活の実現に向けた取り組みが注目を集めている。
丸紅では、「SAP ECC」の標準保守期限が2027年末(有償サポートの場合は2030年)で終了する世界共通の問題に対処するため、単体(丸紅本体)の10営業本部と国内(丸紅グループ)の20事業会社を対象に、双日テックイノベーションが提案したGRANDITへ移行させる一大プロジェクトをスタート。2023年10月から単体の「素材産業グループ 化学品本部(※1)」の営業領域などでGRANDITを本稼働させた。
そして次に導入を予定していたのが、現在の食料・アグリ部門の食料の営業領域である。

 現在の食料・アグリ部門に再編される前の旧食料本部では、スクラッチで独自開発した営業システム「FDS」を約40年にわたり活用してきたが、近年は様々な課題が表面化し始めていたという。今回のプロジェクトでマネージャーを務めた、食料・アグリ戦略企画部 システム課長 竹村 健太郎氏は、次のように経緯を説明する。「FDSは営業部門の固有の業務や要望に沿ってカスタマイズやアドオンを加えてきたため、ユーザーとしては使いやすいシステムであった半面、複雑化したことで保守・運用の負担が増大していました。また、基本設計があまりにも古くビジネス環境の変化に対応する柔軟性にも限界が生じていた上に、システムの全体構成を把握する人材も減少したことから、リプレイスが待ったなしの状況でした。
(※1)2025年4月の機構改革により、現在はエネルギー・化学品部門。

ユーザーも参加し合意と協力を得ることで業務標準化を推進、アドオンカスタマイズを抑制

 丸紅では、導入を予定している他の単体各部門と事業会社への展開を目的とし、化学品GRANDITの導入で得たノウハウをテンプレート化した「丸紅版GRANDIT」を開発。 今回の食料・アグリ部門への導入プロジェクトは、「丸紅版GRANDIT」を展開する初めてのプロジェクトとなった。この「丸紅版GRANDIT」には全社共通機能が既に搭載されているため、食料・アグリ部門の固有機能に絞って業務適合性分析やアドオン開発を進め、導入までの期間やかかるコストを抑制できる見込みだ。PMOメンバーとしてプロジェクトに参画した、食料・アグリ戦略企画部 システム課 白鳥 翔氏は、「人材のリソース、予算、時間が限られる中、食料・アグリ部門のシステム課だけでゼロから営業システムを検証することは困難でした。『丸紅版GRANDIT』という土壌があったため、食料・アグリ部門の食料向け「GRANDIT」を開発する余裕ができました」と振り返る。

丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課 白鳥 翔 氏
丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課 白鳥 翔 氏

 食料・アグリ部門ではプロジェクト開始前に簡易版Fit & Gapとプレ要件定義を実施。その後2024年4月から基本設計を行い、テストフェーズを経て、予定通り2025年7月に食料・アグリ部門の「GRANDIT」の本稼働が開始された。  
 システム開発のプロジェクトリーダーで、食料・アグリ戦略企画部 システム課 小野 優氏は、「具体的な要件の協議に入る前に「『GRANDIT』導入にあたり、Fit to Standard(システムの標準機能に合わせて業務プロセスを見直すアプローチ)を大方針とし、それに基づき、ユーザーと検討会を毎月数回実施したことが成功要因になったと思います」と述べる。ユーザーである営業部員にもプロジェクトに参加してもらい、合意と協力を得ながら、食料・アグリ部門の業務プロセスをいかに『丸紅版GRANDIT』の標準機能に合わせられるかという検討を行っていったという。「それにより過度なアドオンやカスタマイズを避け、業務の標準化とGRANDIT独自の新機能獲得を並立しようと考えました」と小野氏は打ち明ける。
システム課と利用部門が一体となり、主体性を持ちながら刷新を推進したことがポイントだったという。また小野氏は、「双日テックイノベーションが化学品GRANDIT導入プロジェクトで蓄積した知見をプロジェクトメンバーに共有してくれたおかげで、課題の早期解決やトラブルの未然防止につながり、計画通りの完遂を実現できたと考えています」と言及する。

「丸紅版GRANDIT」の活用で4つの導入効果を実現

 食料・アグリ部門では、「GRANDIT」が計画通りにカットオーバーし、期待通りの効果が実現していることを高く評価している。特に挙げるのは以下の4つだという。

 第1に、コスト削減と品質の担保だ。共通機能を開発済みの「丸紅版GRANDIT」をベースに、食料・アグリ部門固有の機能を追加した「GRANDIT」を構築したことで、ゼロ状態から着手するよりも開発費用を大幅に削減。システムの品質も担保されているため、トラブルにつながるリスクや工数も低減できたという。
  第2に、商社業務との相性の良さ。「GRANDIT」は国産ERPならではの安心感のほか、商社特有の業務や貿易実務に精通したノウハウや知見が随所に活かされており、丸紅の業務とも高い適合性を示し効率も向上しているという。小野氏は「双日テックイノベーションの貿易業務に精通したスタッフのおかげで、商社特有の用語や文化を共有しながらプロジェクトを円滑に進めることができ大変助かりました」と話す。

丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課 小野 優 氏
丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課 小野 優 氏

 第3に、保守・運用の負担軽減である。     旧営業システムはシステムの老朽化による不安のほか、毎朝オペレーターがシステムを起動したり、バッチ処理の結果を紙のチェックリストに記録したりする作業が必要など、保守・運用担当者の業務負担が課題だった。「GRANDIT」に移行後は、厳格な管理下での人による運用がほぼ不要になり、万一バッチ処理でエラーが発生した場合もオペレーターが検知システムで簡単に確認できるようになった。白鳥氏は「このプロジェクトは他の部門からも注目され、『丸紅版GRANDIT』を導入予定の部門とは能動的にプロジェクトの進捗状況を共有する機会を設けていたほどです」と述べる。
 第4に、意思決定の迅速化だ。「GRANDIT」移行後は承認業務がワークフロー化し、PCのみならずスマートフォン・タブレットでも回付中の案件のステータスが随時確認できるようになった。従来の紙ベースで運用していた時と比べ、業務が停滞することも少なくなったという。

「できないことは、みんなでやろう。」を体現した成功プロジェクト

 食料・アグリ部門では「GRANDIT」導入後にユーザーアンケートを実施。その一部を紹介すると、「シングルサインオンが有効になったことでスムーズに利用できるようになった」、「以前よりも画面がシンプルでわかりやすくなり直感的な操作が可能になった」、「情報量が増えたため画面を遷移して目的のページに辿り着くという負担が減った」など、使い勝手の向上を評価する内容が多かったという。

丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課長 竹村 健太郎 氏
丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課長 竹村 健太郎 氏

 竹村氏は、「今回のように長年使い慣れたシステムの刷新においては、ユーザー、ベンダー、そしてシステム課がどのような方針で進めるのかを合意し、納得した上で進めることが重要でした。双日テックイノベーションは当社の社内事情や展開するシステムの両方に知見を持っていたので、それが大きな成功要因になったと確信しています」と語る。
 食料・アグリ部門のGRANDIT導入は、あたかも丸紅のスローガン「できないことは、みんなでやろう。」を実践するような知恵やリソースを結集した成功事例となった。それに続く他部門のチャレンジにも産業界から熱い視線が向けられている。

「丸紅版GRANDIT」開発プロジェクトインタビュー詳細はこちら

丸紅株式会社「丸紅版GRANDIT」開発プロジェクト
総合商社の丸紅がSAP構成を見直しGRANDITを導入標準にアドオンを適用した「丸紅版GRANDIT」を開発し導入の迅速化・省力化・低コストを目指す

写真左より
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部 副本部長 小北 洋史
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部プロジェクト推進室プロジェクト推進課 岡田 賢司
丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課 小野 優 氏
丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課長 竹村 健太郎 氏
丸紅株式会社 食料・アグリ戦略企画部 システム課 白鳥 翔 氏
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部 ERP事業部 部長 西本 信浩


※組織名称や組織体制、所属部署名、役職名は、プロジェクト実施時のものです。
※「丸紅版 GRANDIT」は、丸紅単体と国内事業会社向けに開発されたシステムの通称であり、製品名ではございません。

双日テックイノベーションの「GRANDIT」事業について

双日テックイノベーションのGRANDIT事業につきましてはコチラをご覧ください。